……秘密があります
「ちょっとうちに寄るか」
と帯刀が言ってきた。

 えっ? と羽未は固まる。

 二度も指紋を消して逃亡したマンションだからだ。

「まだ明るいし、いいだろう?」

 確かに。
 今回はちょっと呑んだけど酔ってもないし。

 燦々と日も降り注いでいる時間帯だ。

 気持ちは決まっていないが、何故か式場は決まった仲だし、断るのも変だろうかと思い、

「で、ではちょっとだけ」
と羽未は言ってみた。

 すべての始まりであるあの場所で、自分の気持ちを確かめてみたい気もしたからだ――。






 
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