……秘密があります
「いきなり行っても大丈夫か」

「お母さんに連絡しておきます」
と言うと、

「じゃあ、二人で食事してから行こうか」
とちょっと恥ずかしそうに帯刀が言ってきた。

 その顔を見て、ああいいな、と羽未は思う。

 いつまでもこんな感じだといいな、と。

 結婚して、ずっと一緒に暮らしても。

 二人で出かけることがちょっと特別なことみたいに、どきどきしたり。

 ……まあ無理かもしれないけど。
 今はこんな感じのこの人を見ているのが、すごく嬉しい、と思って見上げると、帯刀は目をそらす。

「あ、そうだ。
 なんで急に一緒に写真撮りたい、なんですか?」

「いや、お前が上杉とばかり写真に写っているようだから……」

 幼なじみですからね……。

「お前、今日は一日中、魚の骨だったし。
 上杉がやった」

 いや、訳して言わないでください……。

「仕事中、髪が前に落ちてこないので、楽だったからですよ」
と言いながら、二人で駐車場に下りた。


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