……秘密があります
 


 羽未は士郎に手を握られ、呆然とし、帯刀は、どうしたらいいんだ、という顔をして、横に突っ立っている。

「俺の花嫁になにするんだっ」
とも言わずに、帯刀が困った顔をして立っていたのは、おそらく、羽未が士郎と逃げることは絶対にないとわかっていたからだろう。

 たぶん、課長はシロさんの今後のことを考えている、と羽未は思った。

 同じ会社の人がたくさん来ている。

 明日からどうする気だ、上杉っ。
 映画じゃないんだっ。

 スタッフロールが流れて人生終わったりしないんだぞっ!

 ――と課長の顔に書いてある、と羽未は思っていた。
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