……秘密があります
 そして、私も今後のことを考えている。

 幼なじみでご近所さんで、職場も同じ。
 このあと、どうしたらいいんだっ? と。

 この事態、なにか波風立てずに終わらせる方法はないのかっ?
と帯刀と二人で悩む。

 初めての夫婦共同作業だった。

 だが、阿佐子たちは喜び勇んで立ち上がる。

「やだーっ。
 上杉課長ーっ。

 最高ーっ」

「どうしたんだ、上杉っ。
 出世街道投げ捨てたかっ?」
とみんな楽しそうだ。

 ……我々の式は退屈でしたか?
と思ってしまうほどに。

 神父さんも式場スタッフも苦笑いして、事の成り行きを見守っているようだった。

 花嫁を奪いに来た男が居るというのに、新郎新婦始め、ご列席の皆様のあまりの緊張感のなさに、

 もしや、これは出し物なのか?
と思っているようだった。

 いやいや。
 披露宴じゃないので、出し物ありませんよ。

 でも、そういうことにして終わらせたい。
 シロさんのためにも、と羽未は思っていたが、周りはこの予期せぬ珍事に、とてつもなく盛り上がっていた。
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