……秘密があります
 


 おや?
 今日は居ないのか。

 灯りがつかないが……。

 上杉士郎は隣家の二階の窓を見つめた。

 この時間には、羽未(うみ)は大抵、自分の部屋に上がってきているのに、と士郎はちょっとつまらなく暗い窓を眺める。

 こんな時間まで何処行ってるんだ。
 お尻ペンペンだぞ、と子どもの頃の気持ちのまま、士郎は思う。

 ちょっと年下の羽未はいつもぼんやりしていて可愛かった。

 幼い頃の羽未を思い出し、少し笑う。

 ……生意気にも帯刀と二人で呑み会を抜け出したと聞いたが。

 ま、せいぜい送ってもらったくらいだろ、と思う士郎は、昔好きだったというわりには、羽未の評価が低かった。




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