……秘密があります
「お前、週末、お袋さんが忙しくて捕まらないから、代わりに暇つぶしに羽未と会おうとしたのか」
「なんの話だ。
さち……いや、母に訊いたら、週末暇だと言うから。
羽未の予定が空いているのなら、母に紹介しようかと思ったんだ」
と溜息まじりに帯刀は言う。
うっ。
そんな話だったのかっ。
しまった、と思ったが、もう遅い。
今更、『暇ですっ』と言うのもな。
ぜひ、親御さんに紹介してくださいって言ってるみたいな感じになるから。
まるで、自分から、
「課長っ、結婚してくださいっ」
って言ってるみたいじゃないですか、と羽未は考えすぎる。
「まあいい。
今日はもう帰れ。
此処は俺の陣地だ」
と言いながら、士郎は帯刀の背を押し、部屋から追い出そうとする。
いやいや、なんでシロさんの陣地ですか、と思ったが、なにか考えている風な帯刀は素直に押し出されて帰っていった。
学生時代はみんな結構、恋愛ごとを中心に世界が回っているような感じもあったが。
大人になったら、なかなかそういうわけにも行かず。
ずっと気になってはいたのだが、部署が離れているうえに、忙しい帯刀とはなかなか会えなかった。
なので、この話は、
「此処は俺の陣地だ」
という士郎のしょうもない主張で終わったまま、翌週末のバーベキューを迎えた――。
「なんの話だ。
さち……いや、母に訊いたら、週末暇だと言うから。
羽未の予定が空いているのなら、母に紹介しようかと思ったんだ」
と溜息まじりに帯刀は言う。
うっ。
そんな話だったのかっ。
しまった、と思ったが、もう遅い。
今更、『暇ですっ』と言うのもな。
ぜひ、親御さんに紹介してくださいって言ってるみたいな感じになるから。
まるで、自分から、
「課長っ、結婚してくださいっ」
って言ってるみたいじゃないですか、と羽未は考えすぎる。
「まあいい。
今日はもう帰れ。
此処は俺の陣地だ」
と言いながら、士郎は帯刀の背を押し、部屋から追い出そうとする。
いやいや、なんでシロさんの陣地ですか、と思ったが、なにか考えている風な帯刀は素直に押し出されて帰っていった。
学生時代はみんな結構、恋愛ごとを中心に世界が回っているような感じもあったが。
大人になったら、なかなかそういうわけにも行かず。
ずっと気になってはいたのだが、部署が離れているうえに、忙しい帯刀とはなかなか会えなかった。
なので、この話は、
「此処は俺の陣地だ」
という士郎のしょうもない主張で終わったまま、翌週末のバーベキューを迎えた――。