……秘密があります
帯刀は遠目に見るくらいしか羽未に会えない間、ずっと考えていた。
もしかして、羽未の初めての相手は自分ではないのかと。
実は根拠がある。
とある呑み会のあと、帯刀は羽未と一夜を共にした夢を見た。
それを夢だと思ったのは、目覚めたとき、羽未が部屋に居た痕跡がまったくなかったからだ。
でも、と帯刀は思う。
羽未の相手は上杉ではなかったようだし。
なにより、この間の晩のあの完璧なまでの証拠隠滅。
社内で一番キラキラしている羽未が俺のような無骨な男を好きになるとも思えなかったので、今まで夢だとばかり思っていたのだが……。
「待て待て待て」
と士郎が聞いていたら、そこで止めていたことだろう。
「幼なじみの贔屓目で見ても、奴は社内で一番のキラキラ女子ではない」