君のキスが狂わせるから
3人でという条件付きではあるが、深瀬くんとお茶をするとなるとやや緊張してしまう。
海の時は暗い場所だったし、話題の中心が彼のことだったから私は答えるだけで精一杯だった。
(明るい場所で向かい合わせは、やっぱり緊張するよね。でも、仕事の話だし私が口を挟むことはないかな)
その時、デスクに置いておいたスマホが着信を知らせた。
画面には美桜先輩からのメッセージが表示されている。
“6:30に駅近くの『マリンバ』っていう喫茶店に決めたよ。よろしくね”
(この喫茶店て……ここから歩いて10分くらいで着く場所だったかな)
終業時間が5時半だから、少し時間が余る。
早めに行って待っていてもいいけど、張り切っているように見えても恥ずかしい。
余計なことをごちゃごちゃ考えた結果、明日の仕事がスムーズにできるように準備を整えてから向かおうと思い直した。
***
時間通り6時半に到着できるように調整し、喫茶店に向かっていると、仏頂面をした深瀬くんがこちらへ歩いてくるのが見えて驚く。
「あれ、深瀬くん。喫茶店はその先だよ?」
「……」
彼は私の存在に気づいた様子なのに、表情は険しいまままだ。
(仕事で何かあったのかな)
まさか時間より前に美桜先輩と会っているとは思わないから、訳を尋ねようとするも、彼の方が先に口を開いた。
「愛原さん。俺、別に新しい恋人が欲しくてあなたに失恋を告白したわけじゃないですよ」
「えっ?」
想像もしない言葉に、私は驚くだけで次の言葉が出てこない。
海の時は暗い場所だったし、話題の中心が彼のことだったから私は答えるだけで精一杯だった。
(明るい場所で向かい合わせは、やっぱり緊張するよね。でも、仕事の話だし私が口を挟むことはないかな)
その時、デスクに置いておいたスマホが着信を知らせた。
画面には美桜先輩からのメッセージが表示されている。
“6:30に駅近くの『マリンバ』っていう喫茶店に決めたよ。よろしくね”
(この喫茶店て……ここから歩いて10分くらいで着く場所だったかな)
終業時間が5時半だから、少し時間が余る。
早めに行って待っていてもいいけど、張り切っているように見えても恥ずかしい。
余計なことをごちゃごちゃ考えた結果、明日の仕事がスムーズにできるように準備を整えてから向かおうと思い直した。
***
時間通り6時半に到着できるように調整し、喫茶店に向かっていると、仏頂面をした深瀬くんがこちらへ歩いてくるのが見えて驚く。
「あれ、深瀬くん。喫茶店はその先だよ?」
「……」
彼は私の存在に気づいた様子なのに、表情は険しいまままだ。
(仕事で何かあったのかな)
まさか時間より前に美桜先輩と会っているとは思わないから、訳を尋ねようとするも、彼の方が先に口を開いた。
「愛原さん。俺、別に新しい恋人が欲しくてあなたに失恋を告白したわけじゃないですよ」
「えっ?」
想像もしない言葉に、私は驚くだけで次の言葉が出てこない。