君のキスが狂わせるから
“世間的にそう言っておいた方がいい”ことを口にする習慣はいつからついたんだろう。
本音の部分には、もっと理性超えた何かを欲しているのに、そういうものを求める自分は”はしたない”と感じてしまう。
(深瀬くんとのことだって、私が20代だったらもっと積極的になれたかもって思ってる。年齢に開きがある。その理由だけで自分を戒めてる)
年齢を気にしないで相手を選んでいいのなら、深瀬くんに恋してみたい。
過去の恋に対してはもう情はない。
もう、私を裏切った人のことは忘れて次のステップを踏みたい。
「よし……まずはライン登録して友達リクエストしておこう」
そう思った時、手の中のスマホが着信で震えて驚く。
画面には美桜先輩の名前が点滅していた。
「はい、もしもし」
『瑠璃ちゃん、もう、今日どうしてきてくれなかったのよ』
「えっ?」
第一声にとりあえず驚く。
間違った時間を教えたことに気付いてない?
これは先輩の罠だと思っていた気持ちが、一瞬にして乱れる。
「あの、私のラインには6:30にって書いてあったので……30分遅れちゃったんです」
『えっ、本当?やだ、私、6:00って打ったつもりだったんだけど。打ち間違えたかな』
これを本当の事なのだと思いたい。
私にこんな嘘をついてまで、先輩が深瀬くんを狙ったなんて思いたくない。
でも、私の本能的な勘が、この言い訳にどこか嘘臭さを感じていた。
(でもそこを追求する気にならない…とりあえず間違いだったってことにしておこう)
「深瀬くんにお仕事の話はできたんですか?」
『うん、まあね。でも彼、真面目すぎない?話すことなくなって、ちょっとプライベートなこと聞いたら“その質問には答えられません”だって』
「そう……ですか」
連絡先を聞いたりしたのを、素っ気なく断られたのが面白くなかったようだ。
自分はその連絡先を彼の方からもらったなんて、口が裂けても言えない。
本音の部分には、もっと理性超えた何かを欲しているのに、そういうものを求める自分は”はしたない”と感じてしまう。
(深瀬くんとのことだって、私が20代だったらもっと積極的になれたかもって思ってる。年齢に開きがある。その理由だけで自分を戒めてる)
年齢を気にしないで相手を選んでいいのなら、深瀬くんに恋してみたい。
過去の恋に対してはもう情はない。
もう、私を裏切った人のことは忘れて次のステップを踏みたい。
「よし……まずはライン登録して友達リクエストしておこう」
そう思った時、手の中のスマホが着信で震えて驚く。
画面には美桜先輩の名前が点滅していた。
「はい、もしもし」
『瑠璃ちゃん、もう、今日どうしてきてくれなかったのよ』
「えっ?」
第一声にとりあえず驚く。
間違った時間を教えたことに気付いてない?
これは先輩の罠だと思っていた気持ちが、一瞬にして乱れる。
「あの、私のラインには6:30にって書いてあったので……30分遅れちゃったんです」
『えっ、本当?やだ、私、6:00って打ったつもりだったんだけど。打ち間違えたかな』
これを本当の事なのだと思いたい。
私にこんな嘘をついてまで、先輩が深瀬くんを狙ったなんて思いたくない。
でも、私の本能的な勘が、この言い訳にどこか嘘臭さを感じていた。
(でもそこを追求する気にならない…とりあえず間違いだったってことにしておこう)
「深瀬くんにお仕事の話はできたんですか?」
『うん、まあね。でも彼、真面目すぎない?話すことなくなって、ちょっとプライベートなこと聞いたら“その質問には答えられません”だって』
「そう……ですか」
連絡先を聞いたりしたのを、素っ気なく断られたのが面白くなかったようだ。
自分はその連絡先を彼の方からもらったなんて、口が裂けても言えない。