私立秀麗華美学園
「……メイド喫茶」


萌えー!

一体何のことなのかというと、雄吾と咲のC組が、出し物としてその若干時代遅れな気がしなくもない選択をしたのだという。


「そんなの、誰が考えたの?」

「堂本だ」


懐かしのやつが再登場!


「やっぱそっち系だったんだ」

「そういやあいつ、どうしてる?

「別にー。三松さんとは続いてるみたいやけどね」


雄吾は長ーーいため息をはいた。よほどクラスの案が気に入らないらしい。


「なぜこの学園であんなふざけた企画が通るんだ……」


ぶつぶつ呟いているが、ほっておこう。


「最初は全然意見なかってんけど、いきなり堂本が立ち上がって『それでは定番の、メイド喫茶なんて如何でしょう』って」

「定番なのか、それ」

「意見通す方も通す方だと思うけどね」

「楽しかったらええねんて!」


意外にも咲は乗り気らしい。メイド服なんて死んでもごめんというタイプかと思ったが。
ふと考えてみれば、三松はそういう系の服が、めちゃめちゃ似合いそうな気がする。まさか、堂本の魂胆それか。


「でも咲だってメイドやるんでしょう?」

「うん。男子もな、ホスト的なものやんねん。絶対雄吾スーツ似合う!」


雄吾がホスト!
黒いスーツを着こなしている雄吾を想像してみたが、スナイパーとしか思えなかった。
確かに似合うだろうな、そういう意味で。


「それでそんなに嫌がってるわけね」

「なぜ、たかだか学園祭で窮屈なものを着て、他人に気を遣わなければならないんだ……」


再び雄吾はため息をはいた。5年分ぐらい老けたんじゃなかろうか。

とか言いつつも俺だって雄吾のホスト姿が楽しみでしょうがない。絶対雄吾のシフトの時にC組に行ってやる。
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