私立秀麗華美学園
「そ、それではルールを説明いたします……」
司会者もたじたじだ。おそるおそると言った様子でぼそぼそ話しだすと、気の立った水沢と熊之崎の2人に「はっきり喋れ!」と一喝された。
なんだこのコンビ。運悪く同じ回にぶちあたってしまった残り10人の挑戦者は気の毒だ。
心持ちマシになった気がしないでもないような声で司会者はルールを説明し終え、計測係がストップウォッチを掲げた。
「よーい……」
特大サイズのキャラメルが堆く積み上げられた皿を前に、挑戦者たちは身を乗り出す。
「スタート!」
一斉に12本の手が伸びる。
俺たちが作り上げたキャラメルは、恐らく史上最強の粘着度を誇るものになった。
サイズは500円玉より2まわり大きいぐらい。厚さは1cm。一口でぎりぎり入るサイズではあるが、おいしさも追求したので柔らかくできている。
が、一たび噛めば粘着地獄。俺も試食したが、あれはもはや茶色く固めた水あめだ。
大きさも大きさなので、飲み込むに飲み込めない。早食い大会というよりは、唾液出し大会の方が近い気もする。
案の定、挑戦者たちは慌て始めた。
歯をたてた途端柔軟になり、口内にまとわりつくキャラメル。目の前に置かれたグラスをひっつかみ、水で流そうとも試みるが、そう簡単に溶けてはくれないのだ。
「おもしろーい」
戸惑う人々の光景を眺め、やや危なげな発言をする姫が2人。ゆうかと馬渕の目が楽しげに輝く。素質あるんだろうな、サドの。
早々に、初等部の制服を着たちびっ子2人がリタイアした。
あのサイズじゃあ大体、口に入れるだけでも一苦労なのだ。残念でしたねーと微笑んで、給水係が水を注ぎに席へ向かう。
ちびっ子は「こんなの無理だよー」と子供らしく不満を述べ、リタイアの印として立ちあがった
残るは10人。中等部の制服を着た男子生徒(廊下で彼女が待っていた)が1人。こいつは俺的に優勝候補。
いかにもお友達連れと言った風のミセスが4人。目的は水沢と似たようなものと推測される。
そして若い女性が2人。たぶん、OGなのだろう。
それから弓浜、熊之崎、水沢だ。
司会者もたじたじだ。おそるおそると言った様子でぼそぼそ話しだすと、気の立った水沢と熊之崎の2人に「はっきり喋れ!」と一喝された。
なんだこのコンビ。運悪く同じ回にぶちあたってしまった残り10人の挑戦者は気の毒だ。
心持ちマシになった気がしないでもないような声で司会者はルールを説明し終え、計測係がストップウォッチを掲げた。
「よーい……」
特大サイズのキャラメルが堆く積み上げられた皿を前に、挑戦者たちは身を乗り出す。
「スタート!」
一斉に12本の手が伸びる。
俺たちが作り上げたキャラメルは、恐らく史上最強の粘着度を誇るものになった。
サイズは500円玉より2まわり大きいぐらい。厚さは1cm。一口でぎりぎり入るサイズではあるが、おいしさも追求したので柔らかくできている。
が、一たび噛めば粘着地獄。俺も試食したが、あれはもはや茶色く固めた水あめだ。
大きさも大きさなので、飲み込むに飲み込めない。早食い大会というよりは、唾液出し大会の方が近い気もする。
案の定、挑戦者たちは慌て始めた。
歯をたてた途端柔軟になり、口内にまとわりつくキャラメル。目の前に置かれたグラスをひっつかみ、水で流そうとも試みるが、そう簡単に溶けてはくれないのだ。
「おもしろーい」
戸惑う人々の光景を眺め、やや危なげな発言をする姫が2人。ゆうかと馬渕の目が楽しげに輝く。素質あるんだろうな、サドの。
早々に、初等部の制服を着たちびっ子2人がリタイアした。
あのサイズじゃあ大体、口に入れるだけでも一苦労なのだ。残念でしたねーと微笑んで、給水係が水を注ぎに席へ向かう。
ちびっ子は「こんなの無理だよー」と子供らしく不満を述べ、リタイアの印として立ちあがった
残るは10人。中等部の制服を着た男子生徒(廊下で彼女が待っていた)が1人。こいつは俺的に優勝候補。
いかにもお友達連れと言った風のミセスが4人。目的は水沢と似たようなものと推測される。
そして若い女性が2人。たぶん、OGなのだろう。
それから弓浜、熊之崎、水沢だ。