私立秀麗華美学園
一度粘着地獄を味わった挑戦者の方々は、とりあえずひとつ目をなんとか飲み込むと、食べ方を思案し始めた。
ただ、ミセスたちだけは、賞品にはなんの執着もないのだろう、早速口ぐちにキャラメルや水についの感想を言い合っていた。
彼女連れ中坊は、ひたすらキャラメルにがっつき、力任せに飲み込む方式に決定したらしい。
若い女性のうちショートカットの方は、先に水を口に含んだ状態で、キャラメルを投与。
ロングヘアーの方は4分の1の大きさに千切って、それからなんとかしようとしていた。
弓浜はというと、キャラメルを手のひらで押し潰し、薄い円形にして、ピザのように食べていた。
あの方法は初めて見た。やるな。だが、意識はキャラメルに向いていない。弓浜は、隣とその隣に広がる異色のワールドに見入っていた。
「失恋の力って、すごいな」
左隣で真二が呟いた。そう言いたくなる気持ちも十分理解できる。けどさ、失恋をした誰もがああなると一概には言えないだろ。
水沢の気迫はそれほどにすごかった。目は血走ってるし、肘張りすぎだし、とてもふところに400万の札束をしまっていたお嬢様には見えない。
水沢はキャラメルになんの工夫を施すこともなく、ひたすら顎を動かしていた。
あの粘着度だから噛む回数と喉を通る個数が比例するはずはないのだが、なぜだか水沢には通用しないようだ。順調に数を減らしていっている。
この分じゃ、初のおかわり達成となりそうだ。
「……ボス、キャラメルで窒息死とか、やめてくださいね」
ぺったんこのキャラメルをがじがじとやりながら、弓浜はぼそりと言った。
しかしその忠告はおそらく、ボスに届いてはいない。確かに窒息しやしないかと、運営側もいろんな意味で心配になる。
同じく目を血走らせ、恐ろしい形相をした熊之崎は、とにかくキャラメルを詰め込んでいる。
詰め込みすぎで顎を動かすこともままならないようだ。本末転倒どころか、目的がわからん。非効率的にもほどがある。
ただ、ミセスたちだけは、賞品にはなんの執着もないのだろう、早速口ぐちにキャラメルや水についの感想を言い合っていた。
彼女連れ中坊は、ひたすらキャラメルにがっつき、力任せに飲み込む方式に決定したらしい。
若い女性のうちショートカットの方は、先に水を口に含んだ状態で、キャラメルを投与。
ロングヘアーの方は4分の1の大きさに千切って、それからなんとかしようとしていた。
弓浜はというと、キャラメルを手のひらで押し潰し、薄い円形にして、ピザのように食べていた。
あの方法は初めて見た。やるな。だが、意識はキャラメルに向いていない。弓浜は、隣とその隣に広がる異色のワールドに見入っていた。
「失恋の力って、すごいな」
左隣で真二が呟いた。そう言いたくなる気持ちも十分理解できる。けどさ、失恋をした誰もがああなると一概には言えないだろ。
水沢の気迫はそれほどにすごかった。目は血走ってるし、肘張りすぎだし、とてもふところに400万の札束をしまっていたお嬢様には見えない。
水沢はキャラメルになんの工夫を施すこともなく、ひたすら顎を動かしていた。
あの粘着度だから噛む回数と喉を通る個数が比例するはずはないのだが、なぜだか水沢には通用しないようだ。順調に数を減らしていっている。
この分じゃ、初のおかわり達成となりそうだ。
「……ボス、キャラメルで窒息死とか、やめてくださいね」
ぺったんこのキャラメルをがじがじとやりながら、弓浜はぼそりと言った。
しかしその忠告はおそらく、ボスに届いてはいない。確かに窒息しやしないかと、運営側もいろんな意味で心配になる。
同じく目を血走らせ、恐ろしい形相をした熊之崎は、とにかくキャラメルを詰め込んでいる。
詰め込みすぎで顎を動かすこともままならないようだ。本末転倒どころか、目的がわからん。非効率的にもほどがある。