私立秀麗華美学園
「……しらかみ学園、って、呼ばれてるのかしら」

「学園長の名前がそのままついた学園って、確かによくあるもんな」


読み方不明のこの学園。うちではしゅうれいかみって呼んでた気がするが、今じゃ「学園」で通じるので、特に気にしてはいなかった。外じゃしらかみ学園って呼ばれてんのか。白上先生の存在が、もしかして有名だったり……。

その時、薔薇園の入り口にかかった看板に書かれた、薔薇園の正式名称が目に入った。


【秀麗華美薔薇造園】
――しらかみ学園の男子たるもの……

【秀麗華美】
――しらかみ……


俺とゆうかは、再び顔を見合わせた。
同じ考えに行きついていたらしい。


「あの、」

「だから男っつーのは――なんだよ、人が喋ってるってのに」


不満げに口を閉ざした男に、俺は恐る恐る尋ねた。


「ここの学園の名前、言ってもらっていいですか?」

「は? いや、しらかみ学園だろ?」

「それってもしかして、正式名称ですか?」

「じゃなきゃ、なんなんだよ」


男は不思議そうに言って首を傾げた。俺は機械的に首を回して、ゆうかの方を見る。俺たちは同じように口を開け放ち、同じように目を見開いていた。


「私立、しらかみ学園」

「まあ確かに、変わった字だよなあ」

「私立、秀(し)麗(ら)華(か)美(み)学園……――!」


俺とゆうかは、驚愕の事実を迎え、思わず同時に叫び声をあげたのだった。








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