私立秀麗華美学園
痛いところを突かれてしまた。


「お前、自主練してんの見たことねーな。朝練とかも」

「あいにく、そんな必要はございませんので」


嘘八百だ。

俺は短距離走なら相当自信がある。自分で言うが、運動神経が悪いというわけではないと思……いたい。

が、サッカーはどうにもうまくいかない。


チームプレイが苦手なのか、球技をやるように生まれついていないのか、もしくは練習をしないのがいけないのか。
……言われなくても一番最後の説が非常に有力であることはわかっている。


でもな、なんだかな、サッカーするより見る派だとか部活より睡眠が好きというかゆうかといる時間を減らしたくないというか……。


そんなわけで、部活は俺が胸を張れない唯一の……ではないか……弱みだ。


なぜ陸上部に入らないのかというと、俺があまりにも短パンの似合わない人物であるから。それだけだ。


「この前の部門別大会、うちの学園じゃサッカー部だけ予選敗退だったよな」


なぜ知っている……。

大会といえど相手も似たり寄ったりの有名校ではあるのだが、この学園で『予選敗退』は珍しかった。
だから知っているのか、もしくは俺が所属しているので調べたのか。


どちらにせよ俺には関係ない。
なぜかというと、俺はその大会にすら出場していないからだ。
どーだ参ったか。


「だから何だよ。俺には関係ねえんだよ」

「どうだよな。ベンチでいくら応援したって負ける時は負けるよな。悪かった」


なぜそこまで知っている……。



笠井は不敵な笑みを漏らし、シュート練習を再開した。

俺は文字通り言葉もなく打ちひしがれていた。あーやっぱり短パンの似合う人間に生まれて来るべきだった。


さっさと行こうとは思ったが、笠井から繰り出される一点のブレもないシュートの連続が始まるのを見ると、なかなか目が背けられなかった。
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