私立秀麗華美学園
「和人、遅い」


そんなこんなで俺は結局遅れてしまった。

待ち合わせ場所へ行くと3人は既に揃っていて、ゆうかは腕組みをして立っていた。
まあ、まだ5分前ではあるけれど。


「すいません……」

「まーまー、まだ5分前やん。あたしらが早かったんやんか」


なんと、咲の口から俺を庇護する言葉が出た。
なんだか様子がおかしい。咲はゆうかをちらちら見つつ、にこたらにこたら笑っている。


「……昨日のことなら、忘れなさいよ」


ゆうかは口を尖らせて俯いた。


「昨日のことお? えー? なんのことお?わからへんなあ」


咲は口に手を当ててゆうかの顔を覗き込み。棒読みの台詞を言った。
何だこいつ。まあいい、放って置こう。咲が変になるなんて珍しくもなんともない。


「遅れるぞ」


雄吾の一言により俺たちは足を進めた。




前を歩くゆうかはモノトーンのワンピースに身を包んでいた。
靴のヒールが高いせいか、一層背が高く見えて大人っぽい。

正直あまりヒールのある靴は履いて欲しくない……察しのいいひとならすぐに理由がわかると思うが。
どんだけ情けなくたって、背ぐらい姫より高い騎士でいたい。


咲も同じくワンピース。柄が、あのーあれ、モダンちっくなレトロ柄とかいうやつ。

髪は珍しく頭のてっぺんでだんごにしている。少し童顔なようではあるが元の顔立ちが悪くないので、ゆうかと並ぶと人目を引く。あくまでも俺視点。


そして俺の横に並んでいるこの男。

特におしゃれだとかいうわけではないが、趣味がよく統一性のある服装。
そして端正な顔立ちにすらりと優美な背格好。
表情はクールでミステリアスなオーラを放っている。

男の俺だって、どっからどう見ても完璧にかっこいいと思う。


つーか、つーかさ。
なんか、俺だけ浮いてねえ?















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