私立秀麗華美学園
10章:初めての共同戦線
長いようで短いようで長かった休みも明けて、新学期が始まった。
クラスの面々もお久しぶりということで、口ぐちに休みの間のできごとを話し合っている。
長期休暇の間、実家でほとんどの時間を過ごした者も多かったのだろう。久々のパートナーとの再会を喜んでいる姿もちらほら。
巻き毛の雑種とかな。
席に着いてあくびをしていると、後ろの席の女子が話しかけてきた。
休みの間は北欧の方に滞在していたらしい。
「月城くんは?」
「実家帰ったり、寮で寝てたりしてたよ」
「花嶺さんと一緒にいた?」
「い、いたりも、したよ……」
突然ゆうかの名前を出されて慌てると、ちょっと笑われた。
クラスメイトのPAK関係ぐらいは、大体のやつは把握しているものだと思う。
親兄弟が気にしているところもあるだろう。
後ろの席の女子(……なんとか本さん)はフリーのはずだ。
「いいね。決まった相手がいて」
「俺は、な」
「相手が決まってるの、嫌だって人もいるけど、羨ましいって人もいると思うよ。
どうせ決めさせてくれないなら、さっさと相手教えてよって感じで。
わたしは上に兄弟いるから、その点自由で気楽だけどね」
思い出すのは笠井のことだった。
雄吾の尾行……いや、追跡……あんま変わんねえか……とにかくその行動により、発覚した事実。
無意識に教室内を見渡し、やつの姿を探す。
ゆうかの席がある列の一番後ろに座っているのを見つけた途端、なぜか、ばっちりと目が合った。
反射的にぐるりんと首を回すと、なんとか本さんに「なにしてるの?」と笑われた。そろりともう一度振り向いて見ると、また目が合う。
同じことを繰り返すと今度は「変な月城くん」と言われた。なんなんだ一体。
さすがにもう一度振り返るわけにはいかず、不自然な方向に首を固定したままなんとか本さんと話していると、教室のドアが開いた。
クラスの面々もお久しぶりということで、口ぐちに休みの間のできごとを話し合っている。
長期休暇の間、実家でほとんどの時間を過ごした者も多かったのだろう。久々のパートナーとの再会を喜んでいる姿もちらほら。
巻き毛の雑種とかな。
席に着いてあくびをしていると、後ろの席の女子が話しかけてきた。
休みの間は北欧の方に滞在していたらしい。
「月城くんは?」
「実家帰ったり、寮で寝てたりしてたよ」
「花嶺さんと一緒にいた?」
「い、いたりも、したよ……」
突然ゆうかの名前を出されて慌てると、ちょっと笑われた。
クラスメイトのPAK関係ぐらいは、大体のやつは把握しているものだと思う。
親兄弟が気にしているところもあるだろう。
後ろの席の女子(……なんとか本さん)はフリーのはずだ。
「いいね。決まった相手がいて」
「俺は、な」
「相手が決まってるの、嫌だって人もいるけど、羨ましいって人もいると思うよ。
どうせ決めさせてくれないなら、さっさと相手教えてよって感じで。
わたしは上に兄弟いるから、その点自由で気楽だけどね」
思い出すのは笠井のことだった。
雄吾の尾行……いや、追跡……あんま変わんねえか……とにかくその行動により、発覚した事実。
無意識に教室内を見渡し、やつの姿を探す。
ゆうかの席がある列の一番後ろに座っているのを見つけた途端、なぜか、ばっちりと目が合った。
反射的にぐるりんと首を回すと、なんとか本さんに「なにしてるの?」と笑われた。そろりともう一度振り向いて見ると、また目が合う。
同じことを繰り返すと今度は「変な月城くん」と言われた。なんなんだ一体。
さすがにもう一度振り返るわけにはいかず、不自然な方向に首を固定したままなんとか本さんと話していると、教室のドアが開いた。