私立秀麗華美学園
「おもろかったやん! あの映画」


映画を見終えた俺たちは、予約していたレストランへ向かった。


「そう? まあまあね、あの監督」


ゆうかはステーキを口へ運びながら言った。

高校生4人が映画見たそのあとフルコースランチ。ふざけんなと言われもしかたないが、ふざけているわけではないのでしかたない。


ちなみにフルコースとはいえ、俺だけが3人と違う一番安いコースを頼んだ。
俺だけがこの中で小遣いをもらってやりくりしている。
こんなところにも格差社会の影響が……というのは嘘で、うちの会社だけが格下というわけではない。

単に俺の金遣いの問題により制限されているだけだ。そう、所詮は俺個人の問題だ。全ては俺が悪いんだ……。


「何してんの和人。いつものことやけど、ぼけーっとして」


口の端にソースつけた君にだけは言われたくありません。


「ねえ雄吾、さっきから目離さないけど、窓の外に何かあるの?」


こいつの瞑想壁もいつものことだ。


「視力の関係でよくは見えないが……」


目を細めた雄吾の指す先には、なんと堂本の姿があった。
今の依頼人、三松あや香がくっつけて欲しいという相手の堂本だ。


別に、堂本が1人ぽつーんと立っていたりしたら気にはしなかった……いや、街中に1人突っ立っていれば異常ではあるか。


「あの横にいるの、誰かしら……」


堂本の隣には、同い年に見られる女が腕を組んでひっついていたのだった。
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