私立秀麗華美学園
「失恋したばっかりちゃうかったん!?」

「新しい彼女じゃねーの」


ふてくされたように答えた。暗いやつだと見くびっていたが、なかなかやるな。あいつ、フリーだっけ。


「食べ終わったことだし、出ましょ。……みっともないから」


みっともない、の原因は窓に顔をくっつけて堂本を見ていた咲と俺だ。
外からは動物園の見世物のように見えるのだろう。


「彼女ありか。厄介だな」

「尾行すんぞ!」


俺がそう言った時には、既に3人は席をたっていた。結局一番行動が遅いのは俺だ。


「和人! 勘定頼んだで!」


足の速さに自信のある咲に続き、ゆうかと雄吾は走り去った。


「待てよ!」


くそっくそっ、なんで一番経済力に乏しい俺が、いつもこーゆー役なんだ。
フルコースランチ、4人分……。
財布の中身は……

ぎりぎりだ。


「兄ちゃん、頑張れよ!」


有り金をほとんど出し切り、レジのおっさんに肩を叩かれて激励を受ける。


「はあ、どうも……」


スパイ映画じゃねーっつーの!
< 30 / 603 >

この作品をシェア

pagetop