私立秀麗華美学園
「ほっほっ、ほんまや。堂本って書いて……」


咲こそサンタクロースの笑い声のようではないか。


「じゃあ、ここは堂本の実家ってこと? どうしてこんな……じゃないわ、この家に……」


言い直しても遅いんじゃないかと思うが。

にしても、どういうわけなのだろうか?
まさかあの学園に通う生徒がこんな……ではなく、この家に住んでいるとは考えにくい。


「それならさっきの女は、妹だとか考えた方が無難か?」

「そっか、そういうことなんかな」


物凄く勝手な推測を進めていく。


「でも妙だな。確か堂本の家は……」

「いつかはばれると思ってたんですけどね」


不意に後ろから聞こえてきた聞きなれない声に、俺たちは一斉に振り返った。
背後霊さながら、たちの後ろにひょろりと立っていたのは話題の張本人、堂本だった。


「どっ、堂本……!?」

「うすうす感づいていました。尾行なさってたんですね。家に入る時に気づいて、裏口から出て来ました」


なんだ、どこもおかしくはなかったのか。


「すみません。このことは内密にお願い致します……」

「内密にって」

「理由を聞かないことには無理な相談ね」


俺と咲がいきなりのことに怖じ気づいている中、ゆうかは堂々とそう言い張った。


「ですよね。立ち話もなんですから……」

「ここで結構よ」

「そうですか。それじゃあまずは……」


ふっと、俺たちの視界から堂本の姿が消えた。
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