私立秀麗華美学園
「雄吾ー! 和人がなんか変なこと言い出した!」
「おまえなんつー目で見てんだよまじめに言ってんのに!」
「なんでゆうかへの告白あたしに向かって語り出したん!?」
「咲、今のが原因だそうだ」
雄吾も本を閉じて咲の方を見る。咲はぱちぱちとまばたきをした。
「原因、って、和人が避けた?」
「うん」
「つまり、ゆうかのこと、好きすぎて避けたって言いたいん?」
「うん」
いつものように「何それえ!?」と叫ばれるかと思ったが意外にも咲はひざを抱えてうつむいただけだった。
「……ふうん」
「なんだよ。反応薄いな。もう一回言うけどまじめに言ってんだからな」
「いや、うん、ちょっとわかるかもって思って。
……怖くなるみたいな感じ。好きすぎてどうしていいかわからんようになる時あったもん。このままで大丈夫なんかな? って不安になんの。
あたしの場合やとそういう時、なんていうか、走り回る? っていうか、雄吾に突進していっちゃうけどさ、和人の場合はいったん立ち止まりたくなったんちゃうかなあ」
「なるほど。単調に歩いている状態が続くと、それで大丈夫なのかどうか確認したくなるというのはわかる話だな。
ペースの乱れに影響されてるようじゃ、まだまだだ」
「あたしが走り回り出したらたぶん、雄吾はすぐに気づいてくれて、一緒に確認して、すぐに歩き始められるねんー」
「そうだな」
……咲が、わかると言ってくれたのは予想外のことで、雄吾の解釈もとてもわかりやすくて、まあ、それはいいとしてだな。
お互いの方だけ見て喋んのやめろばかっぷる。「不安になんの」あたりから俺の方には一瞥もくれない。こっち向けばーか。ばーかばーか。
口パクでばかばか連呼してたら、2人がくるりとこっちを向いたのでどきっとする。
「じゃあまあそういうことやから」
「は?」
「自分で自分を理解できてよかったな」
「え、ちょ、」
「そればっかりはどうにもならんわ。和人も頑張ってな」
「…………風呂入ってくる」
邪魔者どっかいけオーラを読み取る能力だけは、ここ数カ月で鍛えられた自信があった。
「おまえなんつー目で見てんだよまじめに言ってんのに!」
「なんでゆうかへの告白あたしに向かって語り出したん!?」
「咲、今のが原因だそうだ」
雄吾も本を閉じて咲の方を見る。咲はぱちぱちとまばたきをした。
「原因、って、和人が避けた?」
「うん」
「つまり、ゆうかのこと、好きすぎて避けたって言いたいん?」
「うん」
いつものように「何それえ!?」と叫ばれるかと思ったが意外にも咲はひざを抱えてうつむいただけだった。
「……ふうん」
「なんだよ。反応薄いな。もう一回言うけどまじめに言ってんだからな」
「いや、うん、ちょっとわかるかもって思って。
……怖くなるみたいな感じ。好きすぎてどうしていいかわからんようになる時あったもん。このままで大丈夫なんかな? って不安になんの。
あたしの場合やとそういう時、なんていうか、走り回る? っていうか、雄吾に突進していっちゃうけどさ、和人の場合はいったん立ち止まりたくなったんちゃうかなあ」
「なるほど。単調に歩いている状態が続くと、それで大丈夫なのかどうか確認したくなるというのはわかる話だな。
ペースの乱れに影響されてるようじゃ、まだまだだ」
「あたしが走り回り出したらたぶん、雄吾はすぐに気づいてくれて、一緒に確認して、すぐに歩き始められるねんー」
「そうだな」
……咲が、わかると言ってくれたのは予想外のことで、雄吾の解釈もとてもわかりやすくて、まあ、それはいいとしてだな。
お互いの方だけ見て喋んのやめろばかっぷる。「不安になんの」あたりから俺の方には一瞥もくれない。こっち向けばーか。ばーかばーか。
口パクでばかばか連呼してたら、2人がくるりとこっちを向いたのでどきっとする。
「じゃあまあそういうことやから」
「は?」
「自分で自分を理解できてよかったな」
「え、ちょ、」
「そればっかりはどうにもならんわ。和人も頑張ってな」
「…………風呂入ってくる」
邪魔者どっかいけオーラを読み取る能力だけは、ここ数カ月で鍛えられた自信があった。