私立秀麗華美学園
「か、か、隠し事なんて」

「なければ人間、そんな態度はとらないわね。大体予想はついているわ。何の特技をお持ち?」


堂本は口をつぐんで俯いた。

俺は全く状況が理解できていなかった。
特技? なぜここで特技?

ゆうかの言葉の真意はよくわからないが、事態をつかめないのは俺と咲にならよくあることだ。


「ゆ、ゆうか、何なん? 予想って」


ほらな。


「……DNAだな」


ほらな。

雄吾は素早くゆうかの考えていることを察知し、事の全貌をつかみかけているらしい。


「そう。覚えてない? 半年ほど前かしら。大手企業がとんでもない商品の開発にのりだしたって話。4人でも少しは話したはずだけど」

「あー、言われてみればなあ……」


言われてみても思い出せない俺。
咲よりもたちが悪い。


「和人は、覚えてないのね」

「すいません」

「ほらっ、うちのお父さんが言ってたあれ。遺伝子の。その話あたしが聞いて雄吾に言うたら雄吾がめっちゃ険しい顔して、和人がしばらく相手してもらえへんかった」


なんだその思い出し方。


「そういえば、風來も少し関わってるんだったっけ? 大元の企業がどこかは明かされていないけど、このひとの例があるなら、プロジェクトはその後も進んでるみたいね」

「あの、全くわけが……」


雄吾が深いため息をついた。
……すいません。


「本当に、覚えていないのか……? そのプロジェクトで開発しようとしている商品は、遺伝子だ。それも、どの分野においても最高の能力を持った、完璧な遺伝子」


か、完璧な遺伝子……!?
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