私立秀麗華美学園
「え……?」
「君が騎士と、月城くんと一緒にいることを拒むなら、お誘いをかけるのは自由だよね? シフトの空きは合わせてあるよ。花嶺さん」
笠井はゆっくりと歩いてきた。ゆうかの表情はわからない。
「君と一緒に過ごしたい。どうかな?」
笠井はゆうかの片手を握って、自分の方に引き寄せた。
かっとなった俺が、離せと叫びかけた時だった。
ゆうかが振り向いた。
その不安そうな表情に、俺は落ち着きを取り戻した。
叫びじゃない。先に体が動いて、俺はゆうかのもう片方の腕をしっかりとつかんだ。
「だめだ」
ゆうかを通り越し、真正面から笠井の顔をにらみつける。
「ゆうかは俺の姫だ」
するりと出てきた言葉だった。
考える前に俺の舌は喋っていた。
そのことに気がついた瞬間、同じように俺をにらみつけてくる笠井の視線が、ふっと外され、ゆうかの方に向いた。
「ゆうか」
そう、名前を呼んで、笠井はゆうかの頬に触れた。
「4年前から、ずっと好きだった」
え――? と思った時にはゆうかの腕は放されていた。笑顔で、笠井はゆうかから離れる。
「返事は必要ないよ」
ひらりと手を振って、やつは校舎の方へ歩いていった。
その後ろ姿を目で追うゆうかを見て、俺はがっちりつかんでいた手を離した。だけどゆうかは動かなかった。立ちすくんで笠井が昇降口へと消えるのを見届け、それから俺には背中を向けたままで呟いた。
「……笠井は、気づいてたみたい」
何に、と聞き返すより先にゆうかの叫びが響き渡った。
「君が騎士と、月城くんと一緒にいることを拒むなら、お誘いをかけるのは自由だよね? シフトの空きは合わせてあるよ。花嶺さん」
笠井はゆっくりと歩いてきた。ゆうかの表情はわからない。
「君と一緒に過ごしたい。どうかな?」
笠井はゆうかの片手を握って、自分の方に引き寄せた。
かっとなった俺が、離せと叫びかけた時だった。
ゆうかが振り向いた。
その不安そうな表情に、俺は落ち着きを取り戻した。
叫びじゃない。先に体が動いて、俺はゆうかのもう片方の腕をしっかりとつかんだ。
「だめだ」
ゆうかを通り越し、真正面から笠井の顔をにらみつける。
「ゆうかは俺の姫だ」
するりと出てきた言葉だった。
考える前に俺の舌は喋っていた。
そのことに気がついた瞬間、同じように俺をにらみつけてくる笠井の視線が、ふっと外され、ゆうかの方に向いた。
「ゆうか」
そう、名前を呼んで、笠井はゆうかの頬に触れた。
「4年前から、ずっと好きだった」
え――? と思った時にはゆうかの腕は放されていた。笑顔で、笠井はゆうかから離れる。
「返事は必要ないよ」
ひらりと手を振って、やつは校舎の方へ歩いていった。
その後ろ姿を目で追うゆうかを見て、俺はがっちりつかんでいた手を離した。だけどゆうかは動かなかった。立ちすくんで笠井が昇降口へと消えるのを見届け、それから俺には背中を向けたままで呟いた。
「……笠井は、気づいてたみたい」
何に、と聞き返すより先にゆうかの叫びが響き渡った。