私立秀麗華美学園
「やっぱり、プロジェクトは進行してたのね」


ゆうかは難しい顔をしていた。


「でも、なんでわざわざ転校させられたんだ?」

「普通の中に紛れてちゃ、才能も薄らいでしまうと考えたんじゃないかしら。ここなら才能を伸ばし続けられるだろうって」

「な、それより、依頼」


咲が呟き、ゆうかはため息をついた。


「そうよね。気は引けるわね。堂本は本名ですらないのに」

「だからって、三松さんに言うわけにもいかへんしなあ」


咲までが腕組みをし出した。

またしても、俺にはわからん。なぜ俺たちに引け目を感じる必要があるのか。


「別にいーんじゃねえの」

「別にってそんな……」

「堂本を好きだっつったのは三松だろ。正体バレてからやっぱり嫌いって言うんなら所詮その程度の気持ちだったってことで、俺たちに責任はなし」


あー俺久しぶり、つーか初めてまともな意見言ったよな。
思った通り、3人とも目から鱗的な顔をしていた。


「なるほどなー。唯一片想いの和人にしか、思いつかへんことやね」


どんな賞賛の言葉が飛んでくるかと思ったら、咲が真っ先に口を開いてそう言った。


「そうね。私たちが考えたところで、関係のないことだったわね」

「そうだな。多少、無責任な気がしないでもないが、負い目を感じる必要はないな」

「ま、私も片想いってことになってるんだけど」


ゆうかはさりげなく呟いた言葉には、気がつかなかったふりをした。
我ながらずるいなあと思いつつも。
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