私立秀麗華美学園
俺の「姫」であるゆうか。

黒く反り返ったまつげが囲む瞳は透き通った琥珀色。
肌は年中白く、それに合わせたようなキャラメルブラウンの髪は英国人の祖母譲り。
長く切れ上がった目尻からは育ちの良さが感じられ、花の蕾のような口元からは常に余裕を持った態度が伺える。

鼻は日本人と思えないほど高く、全体的に漂う雰囲気はいかにも「深窓の令嬢」という感じ。


とまあ、外見に関しては称賛の的になる条件を備えた女の子。
しかしその見目麗しき姿とはうらはらに、内面はというと先ほどの通りである。

つんつーんと、高飛車というのとはまた違って、なんというか、あんな感じ。
相手が俺だから、というのが一番の理由なのだが。


「ちょ、ゆう……」

「ゆうかー! 和人ー! おはよーっ!」


歩みを止めない姫を呼び止めようとした時、馬鹿でっかい声が後ろから飛んで来た。
ゆうかがくるりと振り返り、俺も足を止める。

爆走してくるツインテールの後方には、高身長のイケメンがひとり。


「咲、おはよ」


にこりと笑って姫が言う。


「おはよーっ!」


あっという間に追いついてきた咲は、笑顔で答えた。

< 4 / 603 >

この作品をシェア

pagetop