私立秀麗華美学園
「普段から意思疎通を欠かさなかった娘との会話ですから、何もこじれることはありませんでした。
娘は、私達の提示した相手とは結婚できない理由を明快に述べ、その代り学園の運営は継ぐつもりだし、こういった家庭に生まれた以上家名を汚さないだけの努力は惜しまないつもりだと言いました。
あれだけの説明を受けて、納得しない親はおりません。結局彼女は自分の選んだ男性を婿に取り、あっという間に孫まで見せてくれましたよ。
さて、そんなことがあってから間もなくして、彼女の父親、わたしの最愛の夫は病気で他界してしまいました」
「「えっ」」
突然の訃報に思わず声を上げると、進とかぶった。
お互いに表情で遺憾の意を示し、傾聴に戻る。ここにいる中では今のところ一番この話題から遠そうな進も、聞き入っていたらしい。
「病気で、仕方のないことでした。多くは語らずにおきます。
そうして学園長をわたしがつとめることとなり、娘が理事長をやってくれるようになったのです。お相手のお婿さんもよく手伝ってくれて、経営は軌道に乗りました。
ここにきてやっと、あなたのような生徒が見えてくる余裕ができました」
「あなた」と言われた槙野さんが肩をすくめる。
「学園にいるのは名家の子女ばかりです。そこを利用して、結びつきを見せつけるために、共に行動することを強制されている生徒たちが、気づけばたくさんいたのです。
中には転校してきて即婚約、あとは卒業を待つばかりという生徒も。基本的にはみな親の言いなりでした。
一体なんのための学校なのか、というより、ここが学校でなくなってしまうような気がしました。
そこで私たちはPAK制度を制定したのです。
要は確たる関係性のないことが原因だったのです。ひどい場合には性的にモノにすることで自分たちの関係性をはっきりさせようとした子もおりましたから。
一緒にいなければならないということでクラスの違う相手に行動を合わせ、孤立してしまう例もあったため制度を適用するとクラスは同じになるようにしました」
「でも」
食い下がるように槙野さんが声を振り絞る。
「でもそれって、その強制を公的に認めることになるのではないですか?」
「では、聞いてみましょうか」
突然、先生の視線がゆうかと俺の方に注がれた。
娘は、私達の提示した相手とは結婚できない理由を明快に述べ、その代り学園の運営は継ぐつもりだし、こういった家庭に生まれた以上家名を汚さないだけの努力は惜しまないつもりだと言いました。
あれだけの説明を受けて、納得しない親はおりません。結局彼女は自分の選んだ男性を婿に取り、あっという間に孫まで見せてくれましたよ。
さて、そんなことがあってから間もなくして、彼女の父親、わたしの最愛の夫は病気で他界してしまいました」
「「えっ」」
突然の訃報に思わず声を上げると、進とかぶった。
お互いに表情で遺憾の意を示し、傾聴に戻る。ここにいる中では今のところ一番この話題から遠そうな進も、聞き入っていたらしい。
「病気で、仕方のないことでした。多くは語らずにおきます。
そうして学園長をわたしがつとめることとなり、娘が理事長をやってくれるようになったのです。お相手のお婿さんもよく手伝ってくれて、経営は軌道に乗りました。
ここにきてやっと、あなたのような生徒が見えてくる余裕ができました」
「あなた」と言われた槙野さんが肩をすくめる。
「学園にいるのは名家の子女ばかりです。そこを利用して、結びつきを見せつけるために、共に行動することを強制されている生徒たちが、気づけばたくさんいたのです。
中には転校してきて即婚約、あとは卒業を待つばかりという生徒も。基本的にはみな親の言いなりでした。
一体なんのための学校なのか、というより、ここが学校でなくなってしまうような気がしました。
そこで私たちはPAK制度を制定したのです。
要は確たる関係性のないことが原因だったのです。ひどい場合には性的にモノにすることで自分たちの関係性をはっきりさせようとした子もおりましたから。
一緒にいなければならないということでクラスの違う相手に行動を合わせ、孤立してしまう例もあったため制度を適用するとクラスは同じになるようにしました」
「でも」
食い下がるように槙野さんが声を振り絞る。
「でもそれって、その強制を公的に認めることになるのではないですか?」
「では、聞いてみましょうか」
突然、先生の視線がゆうかと俺の方に注がれた。