私立秀麗華美学園
「ねぇ、やっぱり何かあったんでしょう」

「な、んで?」

「だってゆうかさんもぼーっとしてるように見えるんだもの」


ゆうかの席に目をやる。俺たちより前の方なので表情はわからないが、確かに片肘をついて頭を傾けていた。


「てめぇがなんか悩ませてんじゃねぇだろうなこら」


進が参戦してくる。喧嘩腰の口調ももう慣れっこだ。


「当たってるといえば当たってる。わかんねーけど」

「は? んだよそれざけんなよカス」

「最近わかったけど笠井くんって心配と口の悪さが比例するのね」

「槙野さん、聡明な君が言うのならそうかもしれないね」

「会話だけ聞いてたら4人いるみたいだよな、ぜったい」

「何ハナシ逸らそうとしてんだてめぇは答えろよ」

「逸らそうとなんてしてねーよ」


してねーけど、捨てられそうとかそんな悲観的観測をこいつに言うのは、さすがにためらわれた。


「俺に原因があるとしたら、9年間分だからな……」


今更どうこうとかいう、話じゃねーから。
裁きを受け入れるしか、たぶん道はない。
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