私立秀麗華美学園
「勝負?」

「ああ。順位でな。中間試験の総合順位」


なんと愚かな。
そんな先の見えてる勝負して何が楽しいんだ。


笠井は成績優秀とはいえ、順位でゆうかを抜かしたことはないはずだ。
俺はそれだけで十分よかったのだが、今この状況でその事実が一体何になるというのか。

恐らく常に15位以内はキープしているだろう。この前のテストでは8位だった。


俺はそんな無駄なことばかり記憶している。
俺が暗記物に弱いのはそのせいだな。


「何の意味があんだよ」


俺はボソリと、しかし聞こえる程度の声で言った。


「え? なんか言ったか?」


わざわざ聞き返し、ニヤニヤ笑っている。

どーせ馬鹿ですよ俺はあああ!


「何ふてくされてんだよ。不得意な分野、ねえんじゃなかったのかよ」


ふん。皮肉も通じないような奴の相手なんてしてられるか。


「勝負するからには賭けの対象が必要だよなあ」


一人で喋ってろ。


「この中間終わったら、すぐに学祭だよな」


それだけは本当だ。

何か知らんがこの学園では、1学期と2学期の計2回、盛大な学園祭が催される。
それこそもう気違いかってほど盛大な。

表向きは文化祭ということになっているが、実際は後夜祭がお偉いさん方の交流会となっているのである。
< 44 / 603 >

この作品をシェア

pagetop