私立秀麗華美学園
「毎年2年は、展示会か劇やることになってんだろ? 劇になったとしたら、誰が主役やるんだろうなあー」


んなもん、ゆうかと……
……笠井だろうな……。


この2人はルックスで言うと、認めたくはないがクラスの中ではずば抜けている。
立候補がおらず推薦で決まるとしたら、2人が選ばれることはまず間違いない。

とはいえ箱入り娘と息子の集まり、恐らく自ら劇の主役に立候補するやつはいない。


「わかるよな。主役、決まったも同然だろ。舞台に上がる俺とゆうかを指くわえて見てるお前想像したら、涙が出てきて。チャンスをやるっつってんだよ」


俺の姫を呼び捨てしているぼっちゃんは不気味な笑みを浮かべている。


「お前が勝ったら理由つけて、主役は辞退してやるよ。でも俺が勝ったら、一言も口出しさせねえからな」


賭けにのらずとも、どうせ主役はゆうかとこいつになるんだ。
駄目でもともと、俺には損がない勝負、なんじゃねえか?


「……わかった」

「交渉成立だな。逃げんなよ」


逃げる場所とか、見つかればそうしますが。
どーせ結末は見えている。


どっちにしろ今度の学祭は要注意だ。
そこまで考えは至っていなかったが、ゆうかと笠井が主役なんて。

そして学年でも指折りのルックスの2人が主役なんて言ったら、要望にお答えして的な感じで、恋愛物にならない確率は限りなく0に近い。



はあああ……

せっかく、依頼が簡単に片付きそうだというのに。


増加と減少というのはこのことだ。
節タイトルを見るがいい。

悩みがこう、増えてって、仕事の悩みは減っていく……と。


目の前にあったノートに、顔を机にべったりつけたままグラフを書いてみた。
みょみょみょみょーんとうねうねの筋をシャーペンが残していく。

えっと、交点が直角ってことは……ことは……何なんだ?
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