私立秀麗華美学園
よくわからない誓いを立てさせられたあと、なんとか依頼のことを話してくれた。


「他にも似た境遇のひとがいることはわかっていたしね。あなたに好意を抱いているひとがいるそうよ、って話もちかけたら、やっぱり興味を示してたわ」

「それ言ってしもていいんかわからんけど……」

「私が判断したから、いいのよ」


たまに抑えが利かなくなって、ゆうかがだれかれ構わず女王の権力を振りかざしてしまうことは、雄吾も咲も承知している。


「で、明日三松さんに告わせるつもり。告白される方がいいかってわざわざ聞いておいてなんなんだけどね。場合によるわよね」

「告白シーンは呼べよー」

「はいはい。堂本を呼び出すのは雄吾にお願いするから、和人も一緒に来てね」


そーかそーか。
簡単に片付きそうだな。


「問題はそれからだ」


言った雄吾は、緑黄色野菜がでーんとのったサラダを口に運んでいる。やはり、健康ヲタク。


「問題?」

「問題というべきか……ゆうかとしても、やはり忘れるわけにはいかないだろう」

「そうね。私たち程度の力じゃどうにもなりはしない問題だけど……」

「堂本たちの協力は必要不可欠だろうな」

「少し可哀相だけど、いたしかたないわ。黙秘権は通用しないことをわかってるはずだしね」


それは協力ではなく、情報のかつあげだということを俺は知っていたが、もちろん黙っている。
幸い俺の黙秘権は、今は保障されているわけなので。


「じゃ、明日行動に移すわよ。昼休み、体育館裏に堂本を連れて来て」

「了解」

「三松が拒否したら?」

「大丈夫。拒否なんてさせないわ」


ゆうかがそう言うなら9割方大丈夫だろう。

相手の精神状態を考える必要がなければ。














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