私立秀麗華美学園
「今日結構はやない?」

「そうね、2度寝してたわりにはね」


少しして、咲が突っ走って来た方向から、やっと例のイケメンがやってきた。


「雄吾、おはよ」

「ああ」


整った顔であくび交じりに短く返す。
しかし鋭い眼光はいつもと変わらない。
剣道で培った物腰は一流で、無駄口は叩かず常に冷静沈着、日本男児の鏡と言って差し支えのない男だ。

そしてツインテールがトレードマークのハイテンション浪花ガール、咲。
この2人は俺たちと同じく、PAK制度で結ばれている。


俺たち4人は俺がゆうかと出会ったのとほとんど同時に出会い、小2なりに「意気投合」し、今に至る。

小学2年生の咲と雄吾は既に、自称カップルだった。
もちろん、咲の「自称」である。


「お前らさ、すごいよな。来年で10年?」

「ほんまやなー。7歳の時やもんなあ。ゆうかもええ加減、和人受け入れたったらええのに」


咲からのアドバイスに対しゆうかは、賛成の熱視線を送る俺から目を背けて報いた。


「こーんな頼りのない騎士がどこにいるってのよ」

「たっ、頼りないのは、ゆうかが頼ってくれないからで……」

「え? 何? わたしが悪いの?」

「なんっにも、1mmも、悪くないです」


俺たちのいつものやり取りを眺め、咲が雄吾に腕を絡ませ楽しそーに笑う。


確かに、来年で「俺が一目惚れして10年」て感じだし。
いつまでもこんな関係だし。
むしろ扱い酷くなってる気するし。

これで騎士などと名乗ってよいのだろうか。

せいぜい、身分をわきまえない家来といったところだろう。
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