私立秀麗華美学園
「ほら、答えてよ」
はあ。
一瞬で鼓動の回数が5倍にもなったような気がする。
待て、もう一回、落ち着け俺。
ここで、何かよさげな答えださねえと。
「人を好きになるのに、理由なんていらな……」
「ふざけたこと言ってないで真面目に答えて」
ふざけてなんか……ないとは言えない。
「答えられない?」
「いや……」
俺がゆうかを好きだということは、何があっても変わらない。
と、自分では思っている。
なのにその理由を聞かれると、なぜだか返事に困るんだ。
「かわいいから」
「私よりかわいくて綺麗な子なんて掃いて捨てるほどいるわ」
いやいや何を仰っているんだか。そんな人間この世に存在しません。俺視点。
でもただ容姿が好みだからなんて、それだけがこの9年間の理由であっていいわけがない。
「うーん、頭いいし、運動できるし、なんでもできるし」
「それが何だっていうのよ」
怒らせるかと思っていたが、そのゆうかの声は怒りとは程遠い……どちらかと言えば、あきれたような声色だった。
「偶然、許婚になった相手。それがまあそれなりの外見で、生理的に好かないってわけじゃなかったから、自分の運命を受け入れるために、好きだと思い込んでたんじゃない?」
そう言い放ったゆうかは、驚くほどに沈んでいた。
自分の運命を受け入れるために。
思い込み。
「そんなことは、ない」
「じゃあ答えてみなさいよ! こんな強情で可愛げのない自己中女のどこがいいっていうのよ!?」
「言葉にできない感情だってあんだよ!」
「だとしたって、和人が本当に私と許婚であることを喜んでいるとは思えないのよ!」
「好きだっつってんだろ!」
「理由言いなさいよ! 根拠示しなさいよ!」
「それがなんか知らんができねんだよ!」
こんなに激しくゆうかと言い争ったのは、出会って以来初めてのことだった。
はあ。
一瞬で鼓動の回数が5倍にもなったような気がする。
待て、もう一回、落ち着け俺。
ここで、何かよさげな答えださねえと。
「人を好きになるのに、理由なんていらな……」
「ふざけたこと言ってないで真面目に答えて」
ふざけてなんか……ないとは言えない。
「答えられない?」
「いや……」
俺がゆうかを好きだということは、何があっても変わらない。
と、自分では思っている。
なのにその理由を聞かれると、なぜだか返事に困るんだ。
「かわいいから」
「私よりかわいくて綺麗な子なんて掃いて捨てるほどいるわ」
いやいや何を仰っているんだか。そんな人間この世に存在しません。俺視点。
でもただ容姿が好みだからなんて、それだけがこの9年間の理由であっていいわけがない。
「うーん、頭いいし、運動できるし、なんでもできるし」
「それが何だっていうのよ」
怒らせるかと思っていたが、そのゆうかの声は怒りとは程遠い……どちらかと言えば、あきれたような声色だった。
「偶然、許婚になった相手。それがまあそれなりの外見で、生理的に好かないってわけじゃなかったから、自分の運命を受け入れるために、好きだと思い込んでたんじゃない?」
そう言い放ったゆうかは、驚くほどに沈んでいた。
自分の運命を受け入れるために。
思い込み。
「そんなことは、ない」
「じゃあ答えてみなさいよ! こんな強情で可愛げのない自己中女のどこがいいっていうのよ!?」
「言葉にできない感情だってあんだよ!」
「だとしたって、和人が本当に私と許婚であることを喜んでいるとは思えないのよ!」
「好きだっつってんだろ!」
「理由言いなさいよ! 根拠示しなさいよ!」
「それがなんか知らんができねんだよ!」
こんなに激しくゆうかと言い争ったのは、出会って以来初めてのことだった。