私立秀麗華美学園
雄吾に率いられる形で、俺たちは正門まで辿り着いた。
上からは真二たちが興味深そうに眺めている。テストは一時中断しているようだ。
「おらおらおらおら! はよ出さんかいや!」
どぎつい大阪弁のヤンキーの声が聞こえた。
中心には、ボスらしき人物が一声も上げずにバイクに座っている。その周りを子分たち3、4人が囲みバイクをふかしつつ喚いていた。
「落ち着け! 一体、誰を出せと……」
「この前の生意気な坊ちゃん出せえゆうとんじゃこらあ!」
白咲は必死でなだめているようだが、どう考えても無駄だ。
どうやらこいつらは、この学園の生徒で気に食わないやつに出会ったらしい。そのお礼参りに来たというわけなのだろう。
「誰のことなんでしょうね」
ものすごい形相で喚き散らす集団が門を隔てたすぐ近くにいるというのに、このお嬢様はひるみもせず、平然と落ち着いている。
「さあなあ。学校、間違えてんじゃねーか?」
「そうよねえ。まさかここの生徒で……」
「こら! お前ら、何をしに来たんだ!」
気づくと白咲がこちら側を振り返り、大声で叫んでいた。
「やべっ……」
「よそ見しとんちゃうぞこらあああ!」
白咲が俺たちに気を取られているのを見て、子分の1人が、白き大理石の神々しい校門に、あろうことかガムを吐き捨てた。
途端に、俺の隣では異様なオーラが発され始めた。
そして隣の姫様は、つかつかと奴らの方に近づき始めた。
「ああ!? なんや女、なんか文句あんのか!?」
「あるに決まってんでしょ!」
ゆうかは片手で門を開き、ガムを吐いた男に近寄ると、即座に裏拳をお見舞いした。
美しい手の甲は、男をバイクから振りおとしたのだった。
「あーあ……」
俺としてはゆうかの愛校心を心得ているので、予想外とは言い難い展開なわけで。
「この学園のものを汚すなんて、いい度胸してんじゃない。集団になって言いたいこと言ってくれて。
女ひとりの拳も避けられないような男がこの学園に近づこうなんて、1万年早いってことよ」
ゆうかは語尾にハートがつく感じでにっこりと笑って言うと、何事もなかったかのように門の内側へ戻ってきた。
上からは真二たちが興味深そうに眺めている。テストは一時中断しているようだ。
「おらおらおらおら! はよ出さんかいや!」
どぎつい大阪弁のヤンキーの声が聞こえた。
中心には、ボスらしき人物が一声も上げずにバイクに座っている。その周りを子分たち3、4人が囲みバイクをふかしつつ喚いていた。
「落ち着け! 一体、誰を出せと……」
「この前の生意気な坊ちゃん出せえゆうとんじゃこらあ!」
白咲は必死でなだめているようだが、どう考えても無駄だ。
どうやらこいつらは、この学園の生徒で気に食わないやつに出会ったらしい。そのお礼参りに来たというわけなのだろう。
「誰のことなんでしょうね」
ものすごい形相で喚き散らす集団が門を隔てたすぐ近くにいるというのに、このお嬢様はひるみもせず、平然と落ち着いている。
「さあなあ。学校、間違えてんじゃねーか?」
「そうよねえ。まさかここの生徒で……」
「こら! お前ら、何をしに来たんだ!」
気づくと白咲がこちら側を振り返り、大声で叫んでいた。
「やべっ……」
「よそ見しとんちゃうぞこらあああ!」
白咲が俺たちに気を取られているのを見て、子分の1人が、白き大理石の神々しい校門に、あろうことかガムを吐き捨てた。
途端に、俺の隣では異様なオーラが発され始めた。
そして隣の姫様は、つかつかと奴らの方に近づき始めた。
「ああ!? なんや女、なんか文句あんのか!?」
「あるに決まってんでしょ!」
ゆうかは片手で門を開き、ガムを吐いた男に近寄ると、即座に裏拳をお見舞いした。
美しい手の甲は、男をバイクから振りおとしたのだった。
「あーあ……」
俺としてはゆうかの愛校心を心得ているので、予想外とは言い難い展開なわけで。
「この学園のものを汚すなんて、いい度胸してんじゃない。集団になって言いたいこと言ってくれて。
女ひとりの拳も避けられないような男がこの学園に近づこうなんて、1万年早いってことよ」
ゆうかは語尾にハートがつく感じでにっこりと笑って言うと、何事もなかったかのように門の内側へ戻ってきた。