私立秀麗華美学園
「ついに……終わった……」


何が終わったのかというと、もちろんテストである。
そして終わったとはもちろん、いろいろな意味で、である。

手ごたえがいつもよりなかったか、というとそうでもない。
しかし手ごたえがあったというにはあまりにも白紙の解答欄が多すぎた。


「あとは、結果だけね」


ヤマが当たったらしく、るんるんのゆうかは荷物を鞄にせっせと詰めている。


「結果、あさってだよな」

「なんか初等部の時の、ここの合格発表見に来た時のこと思い出すわね」


確かに。ただでさえビビりだというのに、当時12歳の幼い俺が、よく緊張に耐えられたもんだ。


「ま、今回は、駄目だったからといって和人の人生が変わるものでもないけれどね」

「劇……」

「いいじゃない別に。ヒーローとヒロインと言ったって、和人が脚本係でもやればそれですむ話だし」


いや、クラスメイト、特にお嬢様方が、誰もが認める美男美女の共演内容を、俺なんぞに任せるわけないだろ。


「大体、和人が心配しているようなことは、わたし次第の問題でしょ。何考えてんだか。そんなに尻軽なつもりはないんですけどね」


ゆうかはつんと顔を背けた。逆にかしこまった口調が拗ねてるみたいで可愛い。なんて言ったら悪いことしか起こりそうにないのでやめておく。


「別に、そういうわけじゃないけどさ……」

「じゃあどういうわけよ」

「……すいません」

「なんでそこで謝罪が出てくるの」


くすりと笑い、ゆうかはにこやかに振り向いた。


「帰ろっ」

「……おう」


自然に頬が緩む。この姫の騎士でいられることに全ての感謝を捧げる。


そしてあさって、笠井 進との決着がつく。

勝てるとでも思ってんのかと言われても、フィクションなんで、よろしく。

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