俺のボディガードは陰陽師。


一息つく間もなく、今度は親父と鈴代が二人、話をしながら連れ立って出ていく。


「なずな、食事は?」

「食べた。剣軌にいきがりステーキに連れてってもらった」


すると、親父の後ろを歩く鈴代なずなを、忠晴がすかさず捕まえる。


「…なずなさん、社長にタメ口は減俸対象となりますが…」

「げっ!やめてー!密告しないで!気を付けますから!」

タメ口は減俸対象か。

失礼な行為に…当たるよな。




そうして二人は消えていった。

恐らく、親父の書斎に。




(………)



書斎で話、か。



俺は、いつからだろうか。

その書斎に入れて貰えなくなった。



兄貴とは書斎で仕事の企画の話などをするのに。

俺には…そんな話をどころか、書斎に呼ばれることなんてない。



それは、何を意味するのかというと。

親父は、俺と話をする用事なんかない、ということ。

俺のことなんて、全く相手にしていないのだ。



黙って俺の言うことを聞いてればいいとか。

俺が危なげだから、言うとおりにしろだとか。


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