俺のボディガードは陰陽師。
(チカのやつ…)
スーパープライベイトをあまり喋るな。
女の噂ってやつは、恐いんだぞ。
風呂でシャワーを浴びながらも、昼休みに発覚したチカの情報横流しについて思い出してしまう。
火のないところに煙は立たずと言うが。
煙が立ったら、ここぞとばかりに団扇で扇ぎまくる。
《ちょっとちょっと!橘くん、北桜辞めて公立受け直すって!》
《えー!ひょっとして、お兄さんに彼女取られたから、北桜にいられなくなったとか?ほら、あの宮内薫…》
《でも確かに同じ橘グループの人間なら、イケメンなだけの弟より、同じイケメンかつ開校して以来の成績優秀者な兄の方に行くよねー?》
ホンっト、あることないこと。
盛って盛って盛りまくる。
(イケメンなだけの弟、か…)
思い出してしまうと、思考が停まってしまう。
シャワーから降り注ぐ温水に頭を打たれたまま、立ち尽くしてしまった。
…ホンっト、そうかもな。
親父や兄貴に対する憤りなのか、自分に対する憤りなのか。
そんな感情が今も、胸の中でもやもやと蠢いている。
最近ではもうワケがわからなくなってきた。