俺のボディガードは陰陽師。
出た。出たぞ。
兄貴得意のスマイル殺し。
これで、何人の女を殺してきたか…。
強引に迫られて、このスマイルを向けられて、落ちない女はいない。
それほど、芸能人にも負けない完璧すぎるイケメン顔なのだ。
薫だって…。
兄貴が呪われればよかったのに…なんて。
心の片隅でそんなことをも思っていると、今度は鈴代なずなが小バカにしたように鼻で笑った。
「…はぁ?やだよ。おまえみたいなうさん臭いヤローの部屋なんか」
は…。
辺りはシーンと鎮まり返ってしまった。
兄貴も目を丸くしている。
兄貴を…うさん臭いヤロー?
思わずポカーンとしてしまう。
兄貴をそんな風にバッサリと切り捨てた女、今までに一人しかいない。
兄貴と同じ歳の幼なじみの女子。
彼女以外の女子に、罵声を浴びせられるなんて…初めて見た。
「え…うさ」
「長男、確かにイケメン過ぎるけど、なんかペテン師みてえ。うさんくさ」
「え!」
「それに、私は24時間警護中なんだよ。おまえと話してる間に伶士に何かあったら減俸だよ」
そしてなぜか、また下を向いて「減俸イヤ…」と、ずーんと落ち込んでいる。
減俸の恐怖を思い出しちゃったらしい。
どんなポイントで落ち込みモードになるんだ。