俺のボディガードは陰陽師。
…不謹慎と思うかもしれないが。
ごめん兄貴。今、爽快な気分。
人の不幸は蜜の味。
思わず一人笑いをしてしまう。
…しかし、そんな罵声を浴びせられただけで終わらないのが、うちの兄貴。
狙った女は百発百中に落とす男の本領発揮だった。
それからしばらくして。
寝る前に、ベッドに寝転がったままスマホ片手に颯太とLINEしていた時のことだった。
廊下からスリッパのパタパタという足音が響いている。
誰だ。兄貴か。
冷凍中からリバースしたのか?
しかし、その足音は大きく俺の部屋の前を通過する。
ん?…そっちは兄貴の部屋の方向ではない。
不思議に思って、思わず体を起こしてしまう。
同時に、ドンドンドン!とけたたましくドアを叩く音がした。
俺の部屋のドアではない。
隣の部屋…!
「なずなちゃーん!俺が来たー!開けてー!」
…何っ!
兄貴の声…まさか!
自ら鈴代なずなの部屋に乗り込みに…!
女性の部屋に乗り込みに来るなんて、なんてヤツだ!