俺のボディガードは陰陽師。
先ほどからの気分は一転。
兄貴の執念ぶりに、ホラー映画並みの恐怖を感じる。
ベッドから降りて、恐る恐ると静かにドアを開ける。
ドアの向こうでは、やはり…。
「うるせえな。何だよ。夜なんだから静かにしろや」
「なずなに会いたくて来た。ね、中に入れて?」
「ダメだ。今、中は取り込み中」
「寝る前の部屋で何の取り込み?…照れなくていいから?」
「何で照れる必要あんだよ。このうさん臭いヤロー」
ドアを開けて登場した鈴代なずなと兄貴が話してる。
笑顔でご機嫌そうな兄貴とは裏腹に、鈴代なずなは不機嫌そのもので、言葉遣いが更に悪くなっていた。
「なずなのこと、もっと知りたくてさ?」
「ついさっき初対面のくせに、もう呼び捨てか。馴れ馴れしい」
「へぇ?なずなツンデレ?」
「いや、ツンデレ習性なし」
酔っ払って一人テンション上がりまくりで、どこか執念がにじみ出ている兄貴だが、一方鈴代なずなは淡々と冷静に言葉を返していた。
「めんどくせ…」と、呟きながら。
明らかに、嫌がっている。
その様子を黙って見ていると、やがて気付かれてしまった。
「…お、伶士。起きてたの?」
「れ、伶士!何かあったか?!また変なの出てきたのか?!」