俺のボディガードは陰陽師。
え…。
俺の姿を見るなり、兄貴はご機嫌に手を振る一方で、鈴代なずなは急に顔色を変えてこっちを心配そうに伺う。
勢いに圧倒されながらも、「いや、何もない…」と、しどろもどろに答えてしまった。
「あ、そうか」と、ホッとしているようだ。
「ったく、ペテン師長男がうるせえから伶士が起きちまったじゃねえかよ。さっさと去れや。このうさん臭い兄貴」
「あははーペテン師?毒舌なずななんだね?」
「毒舌で本音だ」
ヤバい兄貴。相当酔ってるのか、執念なのか。
さっきの罵声を、ダメージとしてない強がりぶりだ。
それに、女の部屋に乗り込むなんて、男としてどうなんだ。
見境なくなってるから、危険。
「…兄貴」
「ん?」
「もう遅いから部屋戻れよ。鈴代だって明日学校に行くんだぞ。それに、女の部屋に無理矢理入ろうとするなんて、マナーってもんがあんだろ」
鈴代なずなを助けるつもりで、兄貴に一言軽く忠告する。
同じ屋根の下、男女の過ちが起きても困るからな。
だが、兄貴は「マナー?」と呟き、プッと笑う。
その態度にカチンときたのは言うまでもない。
は?バカにしやがって…!