俺のボディガードは陰陽師。
「兄貴っ…」
「わかったわかった!ごめん!うるさくしてごめんね伶士?もううるさくしない!話終わったら部屋に帰るから!」
そう言って、しっしっと手で払われる。
あっち行けってか?…このっ!
更にカチンときて、俺もムキになる。
「なら、早く部屋に帰れよ!」
「わかったわかった!…もう、伶士はカタイなー?だから、付き合ってた彼女、俺に乗り換えちゃうんでしょー」
「…は、はぁっ?!」
何で急にその話?!
…どうやら、俺がウザくて相当頭にきたらしい。
普段、優しくて人当たりの良い兄貴だが、今は相当酔っ払っているため、ちょっと悪そうな顔付きをしていた。
シラフの時は、絶対こんなこと言わない。
この話、兄貴にとっては、俺に対抗する最強の武器。
この話をされると…俺は何も言えなくなってしまう。
俺と兄貴の格差。
男としての。
「………」
「はい、伶士おやすみ」
ドアを閉めて、言われた通り、その場から消える。
逃げたカタチとなってしまった。
もう、やめてくれ。
その話はしないでくれ。
…そう思ってしまったら、立ち去るしかなかった。