俺のボディガードは陰陽師。

だが、閉めたドアの向こうでは、会話がまだ続いている。



「ホントに伶士はカタイ。好きになったら一途だし、重い。だから女に逃げられるんだよ」



俺の話、まだしてる。

陰口かよ。邪魔されて相当頭にきたらしいな。



「女に…逃げられた?」



鈴代なずなの声が聞こえる。

俺と兄貴のやり取りの最中は、一言も発せず黙っていたが。



「そうそう。去年の今頃だったかな?伶士、同じ学校に彼女いたんだけどさ?高等部に上がったらレディクラ入り決定してたぐらい可愛い子。名前…もう顔しか覚えてないや」

「レディクラ?」

「レディクラブ。見た目も中身も一流に美しい子だけが入れる高等部のサークルだよ。…で、彼女が高等部主催のナイトパーティーに参加するって言ったら、伶士、激怒しちゃってさー?」



やめろ。その話。

もう、やめろってば。



「そんな付き合いのパーティーまで束縛しちゃったら、彼女も嫌になるよねー?うんざりでしょ」



やめろ。やめろ。

俺のこと、小さいヤツとか、古くさいヤツとか思ってんだろ。



…何故なんだ。



なぜ、大切にしたいと思ったら、否定されるんだ。



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