俺のボディガードは陰陽師。
「ほ、ホント…?」
「いい。元はと言えば、兄貴が酔っ払って押し掛けてんだ。女の部屋に無理矢理入ろうとするなんて言語道断だよ。失礼なのは兄貴の方だ」
「…あ、ありがとぉございますぅっ!」
一層頭を勢いよく下げて、ドアをバタンと閉める。
もう部屋に入ってしまった。
立ち去るの早っ。
…でも、これで貸しひとつだぞ?
まだ横たわっている兄貴に目をやる。
兄貴…廊下で寝てる。
どこに何をくらってダメージを受けたは知らんが、ボッコボコにされた直後に寝てしまうとは、今夜は相当飲んだな。
あの早い時間に帰ってきたのは奇跡的だ。
「…兄貴、部屋に戻るよ」
部屋まで連れていくか。
やれやれ。
そう思って、何度か肩を揺すると、ビクッと震わせて反応する。
「兄貴、立つぞ」
「れ、れいか…」
「………」
何でここで麗華さんの名前を呟く?
余程酒でイカれてるらしい。
そんな兄貴を引っ張って起こし、肩を貸して部屋まで連れていく。
酒くさっ。
学園の王子様のこんな姿、女子生徒たちが見たらどんな反応をするだろう。
ファン減るな。