俺のボディガードは陰陽師。
ゴリラ先輩は、うめき声をあげて腹を抱える。
しかし、腹を庇って頭の位置が低くなった。
そこへ、もう一度右足を高く振り上げる。
綺麗な弧を描いて、右足の踵がゴリラ先輩の頭頂部に、垂直にキレイに炸裂する。
バコーン!と、再び鈍い音がした。
踵落とし…!
その一撃で、ゴリラ先輩は地に倒れた。
威勢の良い発言も、もう出てこない。
鈴代なずなに、やっつけられてしまった!
「最初の顔面パンチがないだけで、後は俺と同じ…」と、椎名先輩が横で呟いていた。
椎名先輩…。
あなたも、こうしてやられたんですか?
恐らく、兄貴も…。
ゴリラ先輩が地に倒れ、動かないという光景を見て、唖然とする。
本っ当に、男をボッコボコにできるんだ。
何だ?あの間髪入れない尋常じゃないスピードは。
陰陽師だからか?それともボディガードだから?
わからん…。
だが、その容赦ない鈴代なずなは、倒れて動かないゴリラ先輩に吠える吠える。
「…今度また、こんな調子に乗ったことしたら、また頭かち割るよ!覚えとけ!」
そうして、鈴代なずなは風のように颯爽と、さっさと去っていった。
地に倒れたゴリラ先輩や、椎名先輩、俺をも置いて…。
何なんだ。