俺のボディガードは陰陽師。
何だ?
また、体が動かなくなった…?!
起き上がりかけたその体勢のまま、体どころか視線すら動かせない。
意識はあるのに。
ただ、おぞましい表情を見せ続ける女性から、視線を離せない状態となっていた。
何で?何でだ?また…!
(…い…すきなの…)
すると、頭の中に声が響く。
頭の中、意識に直接話し掛けられているような。
(…こにだって…ないの…)
あの時と、同じ…。
大好きなの。
どこにだって、あなた以外の人なんていないの。
…その言葉を、意識ではっきりと確認してしまった時。
頭の中に、映像が流れてきた。
まるでそれは、映画のフィルムのコマ送りのように。
《…ったく、お嬢様で料理どころか掃除もしたことないんだってよ?キレイなだけで、ホント嫌になるぜ》
《ホンっト、おまえの作る料理はうめえな?》
《…これで、今後うちの倅とは会わないで頂きたい》
狭い部屋に、はだけた服のまま寄り添っている男女。
テーブルに並べられた煮物と焼き魚。
差し出される、厚みのある封筒。
次々と流れてくる映像は、コマ送りが断片的で速すぎて、何の物語かわからない。