俺のボディガードは陰陽師。
鈴代なずなの殺気立った怒鳴り声で、我に返って現実に戻される。
無意識に動いたその口を手で塞いでしまった。
俺、今…何を口にして?
「取り込みやがって!…オン・マケイ・シヴァラヤ・ソワカ!」
持っていた札から閃光が噴き出して、辺りはあっという間に白い世界となる。
白い閃光に視界を奪われる中で、女性の金切り声ともいえる叫び声が一層響き渡っていた。
《許さない…!愛してる…!》
悲しみが、また…。
心の中に入ってくる…。
どこにだって、私と一緒じゃなきゃ嫌なのに。
「許さない…愛してる…」
胸が、押し潰されそうで。
張り裂けそうで。
気が付いたら、涙がボロボロと溢れて止まらなかった。
「…伶士?」
目の前には、鈴代なずなが立っている。
慌てた、心配そうな表情を向けて。
気が付くと、辺りは何も変わらない俺の部屋だった。
あの妖艶でおぞましい顔の女性も…いない。
茫然と涙を流している俺と。
それをただ見つめる、鈴代なずなと。
部屋に、二人だけ。