俺のボディガードは陰陽師。
その言葉をも振り切るかのように、首を横にぶんぶんと振る。
この悲しみは、俺のものじゃない?
じゃあ…何でこんなに悲しいんだ?
今まで兄貴には何もかも敵わなかったことも。
今まで兄貴と比べられて、劣等感を抱いてきたことも。
そんな兄貴と俺を比べて、後ろ指を差してくる連中も。
薫が俺を捨てて兄貴の方へ行ってしまったことも。
兄貴がそれを受け入れて自分のモノにしてしまったことも。
親父が兄貴を一人前として認めていることも。
それに比べて、俺のことは過保護にして自分の言いなりにしたがることも。
憎い。
憎くて、嫌だ。
でも、実は俺も親父や兄貴やあの連中と同じような人種なんだと思うと。
それもまた、憎い…。
憎いんだけど…でも、それも全て。
全て悲しくて、辛い…。
そして、そんな風にさせてしまった。
優秀じゃない、出来の悪い自分のことが一番嫌で。
憎いのに、悲しくて切ない。
そんな切なさを、消せやしない…!