俺のボディガードは陰陽師。


「俺がっ…俺がこんなだからっ…」

「…伶士」

「うっ…うぅっ…」

「大丈夫だ。大丈夫だから…」




目元にそっと指で触れられる。

涙を、そっと拭った。




「…ひとりでそんなに悲しむな」




…そんな涙を流し続ける俺を見守る、その瞳がなぜか優しくて。

そんな鈴代なずなの大きい瞳を見てると、また泣けてきて。



「…うぅっ…なずな…」

「大丈夫だ。大丈夫だからな」



そう言って、そんな俺の頭を両腕でそっと包み込んでくれる。

その細い腕が、温かくて。



ますます泣けてきて、どうにもならなくて。

その胸の中に…飛び込んでしまった。



「大丈夫。大丈夫だ…」



震える手で、なずなの背中に手を回してしがみつくように抱き止める。

まるで、藁にもすがるように。



その『大丈夫』の一言に。

今まで心を張り詰めさせていたものが、簡単に溶けるようにほどけていく。

それは、慟哭を誘い。

胸の痛みに耐えきれず、声をあげて泣いてしまった。



悲しい。辛い。切ない。

胸が、心が…痛い。



痛いんだ…。



「大丈夫だ…」



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