俺のボディガードは陰陽師。
(……)
…家や兄貴のことを考えると。
やるせない苛立ちに見舞われるのは、なぜなんだろうか。
顧問陰陽師との約束の場所と時間を聞いて、親父からの電話をきる。
真っ黒い感情を腹に抱えたまま、職員室を出て正面玄関口へと階段を降りていく。
ったく、電話してくんなよ。
この学校にいる間だけは、『普通』の男子高生でいられる貴重な時間なのに。
部活に合流しようとグランドに向かうため、靴を履き替える。
ふと見渡すと、正面玄関口に人はいない。
先ほど言い争っていた二人…ギャル・鈴代なずなの姿もなかった。
やれやれ。
学校で痴話喧嘩をするな。
そんなことを思いながら、正面玄関口を出る。
しかし、グランドへ向かう途中にある体育館の裏で右に曲がると。
「…わっ!」
いつもそこにはあるはずのないものとの遭遇で、思わず声をあげて後退してしまった。
心臓が跳ね上がるかと思った…!
そこには、人が倒れていた。
体を庇うかのように踞っている。
「う、うぅっ…い、痛ぇっ…」
な、何っ…?