俺のボディガードは陰陽師。
倒れている人は、うちの制服を着た男子だ。
制服、泥で汚れてる。
体をプルプルとさせながらゆっくりと動いてる…。
「ああぁぁ…」
うめき声をあげながら、ガタガタとゆっくりと上げたその顔は、衝撃だった。
「え…」
え…この人、顔泥だらけでボコボコにやられてる。
鼻血出してる…!
け、ケンカ…?
(…あ)
…よく見ると。
その人はさっきお会いした人だ。
鈴代なずなと痴話喧嘩をしていた、悪そうな二年生…。
ついさっきまで、正面玄関口で女と痴話喧嘩していたはずなのに。
なぜ、今ここでボロボロになって…?!
そのボロボロの様子に呆気に取られてしまい、思わず声をかけてしまう。
「あ、あの…大丈夫、ですか?」
「いっ…痛っ!」
「あ、ああぁぁっ!大丈夫ですか!どうしたんですか?!」
彼が立ち上がろうとした時、痛みでよろめいてバランスを崩した。
思わず助けようと手が出る。
近くで見ると、顔は相当傷だらけだ。少し腫れてきている。
この人に、何が…!
「…悪魔だ…」
俺の肩を借りてようやく立ち上がれた男子生徒は声を震わせて呟いた。
「悪魔だ…あの女は悪魔だぁぁっ!」
え?