俺のボディガードは陰陽師。

自己顕示欲だらけの学園。



…しかし、そんな環境の中でも俺が恋をして、大切に思えるような相手ができたのは、昨年の話。

中等部の三年生へ進級の際のクラス替えで、俺は彼女と出会う。

彼女は宮内薫といって、学年でも美人でファンが多く、有名だったので、名前は知っていた。

サラサラの黒髪ロングヘアに整った顔立ちは、凛としていて清純な雰囲気。

親は中規模の個人病院を経営していて、医者。

薫自身も成績優秀で医学部を目指しているという。



『橘くん、さっきの英文読解でわからないことがあったんだけど、教えてくれる?』



俺が英語が得意だということを知っていたのか、話をするきっかけはそこからで、放課後に一緒に勉強をするようになり。

仲良くなるのに時間はかからなかった。



『この間、お父さんに怒られちゃった。私の話、全然聞いてくれないの』

『何で怒られたの?』

『全然勉強してないって言われたの。ちゃんとやってるのになぁ…』



彼女は気取った話をしない。



『先週のサッカーの試合、どうだった?』

『勝ち進んで来週決勝なんだ』

『すごい。頑張ってるね?』



俺の事を知ろうともしてくれる。


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